田芋パイの原料「田芋」を作ってる宜野湾市大山が、ジ◯リアニメのレベルで良い所すぎる

沖縄で一番大きな国道、58号線から脇道に入ってビルが立ち並ぶ道を抜けていくと、生け垣があって、その間から見えるのは一面の緑。

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田芋畑の朝の風景(X-E2 + Carl Zeiss Touit 32mm f/1.8)

宜野湾市大山の田芋畑は、発展著しい海沿いの埋立地の間の区画に突然現れます。周りのビル群とのあまりのギャップに「あれ俺、タイムスリップしちゃった!?」と戸惑うくらいののどかな風景。いつカン太のばあちゃんが出てきても不思議じゃない。

畑と書きましたが、どっちかって言うと田んぼ(こちらの言葉でターブックワー)ですね。 そしてこの田んぼで栽培されているのが、宜野湾は大山の名物「田芋(たいも)」です!

田芋って何?

田芋というとあまり耳馴染みがない方も多いと思いますが、生物学的にはサトイモという植物の「倍数体変異」(染色体の数が違う)です。

サトイモとの違いですが、田芋は加熱すると粘り気がより強く出ます。 沖縄ではターム、ターンムなどと呼ばれて、「ドゥルワカシー(甘くない)」や「ディンガク(砂糖入り、甘い)」などの伝統料理で利用される他、最近人気の高い「田芋パイ」などに加工されます。素朴な甘さが何とも言えない良いお菓子ですよ!

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田芋自体は、実は畑でも育ちます。

なぜわざわざ水を張った田んぼで育てるのかというと、モグラやネズミ、昆虫によるイモの食害のリスクがグッと減るからだそう。 そして伝統的には、なんと泥の中の芋を棒一本で(!)収穫していました。 今ではポンプで水を送り、その水で泥を液状化させて収穫するという方法が用いられています。それにしたって大変そう。。

なぜこんな所に田芋畑?

なぜこんな所に田芋畑があるのかというと、ここがもともと湧き水の大変多い場所だから。

沖縄の中南部の土地は水を通す隙間の多い石灰岩でできていますが、その下に「島尻層群(しまじりそうぐん)」と呼ばれる水を通さない地層があって、2つの地層の間からは地下水が流れ出します。

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田芋畑横の水路(FUJIFILM X-E2 + Touit 32mm f/1.8)

宜野湾市大山はもともとそのような湧き水の大変豊富なところで、この湧水を使った田芋の栽培が古くからおこわれてきました。

田芋畑の生物と水草

で、この田芋畑が、水草と水生昆虫の宝庫なんです!

そりゃそうですよ。何たって、「屋外超巨大ビオトープ」なわけですから。以下、ここで見られる生き物の写真を貼っていきます。

雑草とはいえ、その多く季節になれば小さな花をつけます。ミゾカクシは沖縄ではほぼ年中咲いている印象があります。

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ミゾカクシの花(Panasonic GH-4 + LUMIX G MACRO 30mm f/2.8)代表的な水田雑草

こちらはガマの穂。

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ご存知、「ガマの穂綿」のガマ(X-E2 + Carl Zeiss Touit 32mm f/1.8)

ちょっと一部をむしると「ほわわわああああああ!!!」と全体がみるみるほぐれて、ほぐれると本当にホワホワの綿になります。

田芋畑は稲を育てる水田と比べて水を張ってから抜くまでが長いので、1年以上かからないと育たない植物も育つ余裕があります。このサイクルは植物にかぎらず、いろいろな生物にとって安定した住みやすい環境を提供しています。

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ベンケイガニの仲間(FUJIFILM X-E2 + XF16mm f/1.4)畑の周りに穴がいっぱい空いていて、日中はその中に隠れている

海からかなり離れて住むタイプのカニ。

この個体で甲幅4cmくらい(カニの大きさは甲らの幅で測ります)。結構大きなカニです。捕まえたい欲求を抑えて撮影

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マツバイ。水草好きの間ではヘアーグラスの呼び名の方が通じるかも(FUJIFILM X-E2 + XF16mm f/1.4)

まさに天然の緑の絨毯!ただし田んぼなので、その下はぐっちょぐちょの泥です(笑)

いい感じに短く生え揃って水草水槽に良さそうだったので、畑で作業している方に許可をもらって持ち帰って育ててみたことがあるのですが、水槽で育成するとかなり長く伸びてしまうようです。

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デンジソウ(SONY RX100)水草好きには”ウォータークローバー”で通じる。こう見えてシダの仲間

「四葉のクローバーがいっぱいある!」と言ってはしゃいでしまうと恥ずかしい目に(笑)

クローバーとは縁の遠い植物(シダの仲間)で、もともと全部四葉です。

ちなみに”デンジソウ”の名の由来は四つ葉が「田」の字に見えるから。 この植物は面白くて、ハスのように水に浮く葉(浮き葉)と、水面から立ち上がって伸びる葉を作ります。写真に2種類の葉が写っているのがおわかりでしょうか?

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流れに揺らめくエビモ(SONY RX100)

半透明の葉が流れに揺らめく様が大変綺麗な水草です。

水草には水面から飛びてても育つもの、先ほどのデンジソウなど浮き葉を出すものなどいろいろな生活形態がありますが、こちらは水の中でしか育つことのできない「沈水性の水草」です。

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ショウジョウトンボ(Panasonic GH-4 + LUMIX G MACRO 30mm f/2.8)赤トンボことアキアカネより、もっとずっと”赤い”トンボ

赤いです。とにかくびびっど。シャアザクなんかよりよっぽど赤い。飛ぶ速度は普通です。

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リュウキュウベニイトトンボ(Panasonic GH-4 + LUMIX G MACRO 30mm f/2.8)

と、ふらっと歩くだけでこのように非常に多くの種類の生物を見ることができます。

これだけ広大な面積が湿地として残っている場所は沖縄では少なくなってしまいました。この湿地に住みつく以外にも、いろいろな野鳥がここを餌場として利用しています。

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セスジツユムシの顔のアップ

田芋畑の今後

さて、大山の田芋は昔から長らく生産高県内トップでした。

しかし、そんな田芋畑も後継者不足、土地の高騰を受け、年々畑を手放す人が増え、少しずつその面積を減らしつつあります。 同じく沖縄県の金武町(きんちょう)ではより近代的な方法で大規模に田芋を育てていて、だいぶ前から生産量的には追いぬかれてしまいました。 住宅街と新興商業地区に挟まれた超レトロな緑の風景。この景観がなくなるのはあまりに寂しい。

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田芋畑の中を通る歩道(FUJIFILM X-E2 + XF16mm f/1.4)ここを通って海側のデパートに買い物に行く人も。

もっとも、「田芋畑を残そう!」とか僕には安易には言えません。

従事者は高齢化してますし、畑を続けるってことは後継者が必要です。かなり泥深い田んぼで年中の作業、楽ではありません。 (でも台風には強いし、収入はかなり安定しているそうです) と思ったら、こんなブログが!

大山田芋ファンクラブ

宜野湾市の特産品である「田芋(ターンム)」をこよなく愛する人々のためのブログです! 田芋を通じて、人と人の輪が広がり、地域が活性化し、皆がワクワク楽しくなることを目指して活動しています!

とても活発に活動してらっしゃいます。 いいですね!”田芋畑の自然と生き物”というカテゴリがあるのが非常にいいッ!

こういう「生産者側の物語」が書けるのは大きな強みだと思います。 不条理な低賃金で搾取されるくらいだったら、農業に賭けてみる!って若者が出てきたらいいなぁと思います。

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最後に、注意事項

*当然ですが、畑は農家の方々の仕事場です。

なるべく上の写真のコンクリの道の上から観察しましょう。そこからあぜ道に入る際はまず畑にいる全ての方に笑顔で挨拶して目的を告げ、入っていいか聞きましょう。あぜ道は下手に踏むと崩れて農家の方にものすごく迷惑をかけます。

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