雨上がりには、海岸植物を見に。

先日、海岸のフィールドを下見する機会があったので、ちょっと撫でるくらいですが海岸植物を見て写真を撮ってきました。

今回のカメラ:SONY RX100(初期型・無印)

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場所は沖縄県中部の某海岸。と言ってもこの岩の姿だけで行き慣れた人には分かるかも。

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雨後なので岩が雨に濡れてテラテラ光ってます。表面は真っ黒ですが、こう見えて全〜部石灰岩。

なぜ白いはずの石灰岩の表面が黒くなるのか…?昔大学の講義で聞いた記憶があるのですが、思い出せません^^;GoogleとGoogle Scholarで相当しつこく調べましたが分かりませんでした。当たり前ですが、インターネットで何でも分かるわけじゃあない。また分かったら追記します。

海岸に生きる植物

そして、こんな岩の上にもたくましく生きている植物がいます。

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海岸植物のウコンイソマツ(イソマツ科)。オソマツではありませんよ、イソマツ。ちなみに全然これっぽっちもマツの仲間ではありません。

そして、こう見えてこいつ「樹」です。花茎を入れても高さ10cmくらいしかないけど、樹です。草か樹か?というのは、高さではなく茎が「木質化(もくしつか)」するかどうかで決まるんですね。葉っぱを掻き分けると、たしかに樹の肌をした茎(幹)が現れました。

そんなに珍しい植物ではないですが、盆栽用に人気があって乱獲されてしまうことも多いそうです。盆栽は植物の枝を切って長い時間をかけ「小さく」育てますが、こいつは樹のくせにもともと丈が低いので使いやすいのでしょう。丈が低いのは、海岸での波や風にて耐え海岸の岩の上に生育するためでしょうね。

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ウコンイソマツとイソフサギ(ヒユ科)。ウコンイソマツよりさらに小さい葉っぱをびっしり並べているのがイソフサギです。磯の隙間を塞ぐように生育するので「磯塞ぎ」。

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赤く見えるのは花

上から見るとこんな感じ。水草が好きな人なら「キューバパールグラス」とかそのあたりの草を連想するかも。

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ソナレムグラ(アカネ科)の可憐な花。花の直径は3mmくらいでしょうか。そなれは「磯馴」と書きます。ソナレ〜というのは、海岸植物によく付けられる名前だそうです(ソナレシバ、ソナレギクetc.)。

 

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ホソバワダン…と思われる(※要確認)キク科の植物。これも岩から直接生えていました。

ホソバワダンは沖縄の言葉で「ンジャナ」と呼ばれる植物。「ンジャサン」が「苦い」なので、これを日本語風に訳すと「ニガナ」なのですが(※ウチナーグチは日本語の方言ではなく独立言語)、困ったことに和名で「ニガナ」と呼ばれる植物は別にいます。

とりあえず、沖縄で「ンジャナ」「ニガナ」という場合「ホソバワダン」のことを指していると思って間違いないでしょう。食用になります。

ここから砂浜に生息していた植物。

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ハマゴウ(シソ科)。折悪しく花は咲いていませんでした。うす紫色のきれいな花を咲かせます。

話は逸れるのですが、このカメラ(RX100)の広角端は28mm(35mmフィルム換算)で、コンパクトデジカメとしてはいたって普通の画角です。この画角で被写体に近寄ると上のような画になります(いわゆる”広角マクロ”)。

広角マクロ的な撮り方は遠近がついてしまうため動植物の形を正確に捉えるのには向きませんが、上の写真のように生息している環境まで写し込むので後で見返したとき「どんな環境で見たっけ?」と思い出すのに非常に便利です。

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こちらはハマササゲ(別名ハマアズキ)(マメ科)。ササゲという食用に栽培されるマメと同じ属の植物です。対してハマササゲのマメは美味しくないようですが、飢饉の時には食用にされたそうです。

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クサトベラ(クサトベラ科)。

こちらは結構立派な大きさの葉をつけますが、背丈はやっぱり低いです。成長にともない横に這うように広がります。

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そしてアダン(タコノキ科)。

上の海岸植物よりも少し、海岸線から陸よりに下がったところに群生しています。ご覧の通りのすごい棘で、人が全く来ない海岸では海に出るためにこのアダンの茂みを抜けなければならなかったりします。

歌手夏川りみの「ファムレウタ~子守唄~」というCDアルバムのジャケに実のなったアダンが描かれていたので、それで見たことがある方も多いのでは。ちなみにこの画は、田中一村(1908 – 1977年)という琉球・奄美の自然や植物を書いた画家の手によるものです。

海岸に生きる植物は逞しいか?

さて、海岸というのは、植物にとって大変厳しい環境です。

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体の外に塩分があると水を吸収するのが極めて大変になるし、というかむしろそのままだと水分取られちゃうし、日差しはキツすぎるし、夏場はえげつない温度まで上がるし。栄養分だってろくにないし。

こういう場所に生きる植物は「逞しい」と言えるか?(さっき言っちゃいましたが)

答えはYesでもありNoでもあります。こういう植物は他の植物が生きられないような厳しい環境で生き延びられる反面、多くの植物にとって快適な環境(肥沃な土、豊富な水、適度な日照)では他の植物との競争に敗れてしまうと考えられます。

また、こういう「厳しい」環境に生きる植物は、環境に適応するため何らかの特別な仕組みを備えていることが多いです。水分が蒸発しにくい表面の構造だったり、波風に耐える低い背丈だったり、塩分を体から排出する仕組みだったり。

これって、何か人間社会にも当てはまる気がします(笑)「東京に住みたくないから、田舎でスモールビジネスを起こそうとしている人」はさしずめ海岸植物でしょうか。「都会の大企業努めの人とは違うスキルが必要」というところまで、植物の世界とそっくりです。

海岸植物は、開発の影響で減っているか?

これも、答えはYesでもありNoでもあります。

先ほど述べたような海岸植物の特性はアスファルトの隙間などの人工環境への適応を有利にすることもあり、一部の植物は本来海岸にしかなかった生息地を広げ街中に進出していたりします。こんな所でも「逞しい」ですね。

ただ、自然の海岸線とそこに生息する植物たちがレギュラーメンバーで揃っていて…という本来の海岸の植物相という意味で言えば確実に減ってしまっています。意外に思われるかもしれませんが、沖縄県では自然の海岸線がそのまま残っている場所は今ではかなり少なくなってしまっているのです。

そのような自然海岸の減少にともなって減ってしまった植物もあります。

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たとえばこちらはイソノギク(キク科)。

どこにでも生えてそうな外見ですが、実は絶滅危惧IB類に指定されている大変希少な植物。一見綺麗な砂のビーチでも、道路の拡張や埋め立てで二次的にできた海岸線だったり…ということも多く、海岸植物の中でもデリケートなものは、なかなかそのような環境には進出してきません。

(by ニート博士)

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