「ヤシの木って何であんな形なの?」→5分でその素朴な疑問、解決します!

ヤシの木って変な形してますよねー。

dscf5319

葉っぱが先端にだけあって、幹がほとんど同じ太さでひょろろろ〜って伸びて。

一体、なんであんな形になるのでしょう?

そもそも、なぜ木の幹は太くなるのか

普通の多くの木は、樹齢を重ねるにしたがって幹が太くなっていきますね。

これって、ダテに太くなっているわけじゃないんです。

植物は、葉っぱ1枚あたりに必要な幹の太さがだいたい決まっています。葉っぱには水分を送る必要があり、葉っぱが多ければ多いほど水分の通り道である幹(正確には木部、導管) は太い必要があるのです。

%e6%a4%8d%e7%89%a9%e3%81%ae%e3%83%91%e3%82%a4%e3%83%97%e3%83%a2%e3%83%87%e3%83%ab

上の図は、緑の部分(葉っぱが集まったものと思って下さい)を支えるために必要な幹の太さを表したもので「植物のパイプモデル」と呼ばれます。

ちなみにこれを利用すると、なんと「木の幹の太さ」を測るだけで「その木の葉の量」がだいたい分かっちゃったりします。これは凄いことですよ!なにせ木に登って葉を一枚一枚数える必要がない!!※1

…というわけで、「太い幹」というのは「木についている多数の葉っぱを支える」ためにあったのです。幹が太いと、同時に高い木になるための物理的な強度が増すというメリットもあります。

加齢とともに無駄に太くなってきているワタクシの腹回りとは違うのですね(溜息)

ヤシの木は葉っぱが少ない!

さて、話がそれてしまいましたが、ヤシの木を見てみると、

dscf4803

葉っぱ少なーーい!!

木自体はかなり高さがあるのに、葉は上の方にチョコンと付いているだけです。これにはちゃんとワケがあります。

ヤシは木としては珍しく単子葉植物なのです。

単子葉植物というのはイネとかススキとか、葉っぱがテープみたいに細長いものを連想していただければだいたいOKです(中学理科では「葉脈が平行脈」とか「根がひげ根」とか習ったはず)。

沖縄の海岸を代表する「アダン」も「木になる単子葉植物」です。

dscf6758
アダンの葉

で、普通の木は「成長の途中で幹を太くする仕組み」を持っています(二次成長、といいます※2)。葉を追加したければ、ガンガン枝分かれして、その分幹を太くすることができるのです。

結果、先ほどの図で示したような樹形になっていきます。

%e6%a4%8d%e7%89%a9%e3%81%ae%e3%83%91%e3%82%a4%e3%83%97%e3%83%a2%e3%83%87%e3%83%ab%ef%bc%95

ところが、単子葉植物のほとんどはこの仕組みをもちません。ということは、幹をあとから太くしていくことができないのです。

これが、ヤシが高くなりながらもひょろっとした幹しか持たない理由です。

%e3%83%a4%e3%82%b7%e3%81%ae%e6%88%90%e9%95%b7

また、幹を太くできないということはガンガン枝分かれして葉を増やすわけにはいかないということなので、自然と葉の数は限られてきます。

普通、単子葉植物はあまり高い木にはなれないのですが、ヤシは

  • 限られた葉を全部、先端にあつめ
  • 細くともしなやかな幹にする

ことによってこのような高さを実現し、森から頭一つ抜けた場所に葉を広げるような生き方ができるのです。

dscf0112

ただ大きなデメリットもあって、新たに葉が出てくる場所(成長点)が1か所しかないので、この部分がいたんだり折れたりするともうダメ

「南国風のヤシの木」は、もともと沖縄にはない

ちなみに、沖縄には背が高くなるいわゆる「南国風な」ヤシの木は、もともと分布していません。

国道沿いにたくさん背の高いヤシが植えられていますが(車で事故って折るとすんごい高額なので注意!)、あれは全て外国産のヤシです。

沖縄にもともとあるヤシはビロウ(クバ)とクロツグの2種類のみ。

p2520529
クロツグ

どちらも、「THE・ヤシ!」って感じのヤシではありません。

まとめ

  • ヤシのあの樹形は、「単子葉植物」的な体のつくりの制約の中で背を高くした結果だった
  • ヤシの生き方は、ある意味とてもギャンブラー

(by ニート博士)

以下、ちょいマニアックな注釈。

※1正確には下の方の幹は枯れ落ちた分の太さも含んでいるので、aの生きている枝の直下の太さを測ります。というわけで、やっぱり木登りは必要みたいです。

%e6%a4%8d%e7%89%a9%e3%81%ae%e3%83%91%e3%82%a4%e3%83%97%e3%83%a2%e3%83%87%e3%83%ab2

※2二次成長の仕組みは、ちょっとややこしいですが、木部(導管が通っていて、水の通り道になる部分)と篩部(篩管が通っていて、栄養分を運ぶ部分)の間にある「形成層」という組織が分裂して、内側に木部、外側に篩部を追加していきます。

「形成層」は理科の時間では名前だけ教えられて、その役割はおざなりにされがち(わたくしが中学生の時はそうでした)ですが、実は茎が太くなる上でとても重要な役割を担っています。

ネイチャーツアーやってます!

「キュリオス沖縄」は、ニート博士ほか専門家ガイドが沖縄の山や海の自然・生物を案内するネイチャーツアー。クリックでHPへジャンプ!

%e3%83%ad%e3%82%b46

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です