「華麗なる毒魚」ミノカサゴについて

「ミノカサゴ」

ハナミノカサゴの幼魚の写真
ハナミノカサゴの幼魚

パッと鰭を広げた姿を水中で初めて見た時は、それはそれは感動します。

おそらく、ダイビング好き、水族館好き、魚好きの人々の中では「クマノミ」に次ぐくらいメジャーな魚なのではないでしょうか。

ところが、実はあまり知られていない面もいろいろあって、実は案外話の種の尽きない魚なのです。

今回は沖縄近海でよく見られるこの魚について、いろんな角度からスクープしたいと思います。

刺毒魚(しどくぎょ)としてのミノカサゴ

この魚の有名にしている要素の一つは、まちがいなく「毒」です。

「綺麗な花には棘がある」という言葉を地で行くように、各ヒレの棘に毒を持っていて、刺されると激しく痛む…という解説をよく見かけます。

では実際、刺されたらどうなるのか?

僕は自分で刺されたことはないのですが(アイゴやハオコゼ類はあります)、人によって・場合によってまちまちで、1日腫れる程度の人から、重篤だとショック症状を呈して意識を失う人もいるようです。

佐藤寛之氏の著書「琉球列島のススメ」には、著者の目の前で漁師のおじさんがミノカサゴに刺されてブラックアウト(視野を失う)する件が綴られています。

この手の毒への感受性は、とにかく個人差が大きいので油断は禁物です!(ミノカサゴはそれほど毒強くなかったよな…と思っているベテランの方ほど注意)

刺毒の仕組み

刺毒魚の棘の図
毒が注入される仕組み

ミノカサゴに限りませんが、刺毒(しどく)を持っている魚の多くは、棘(ヒレを支える硬い骨)が皮膚をかぶった状態になっていて、その皮膚と棘の間に毒が蓄えられています。

で、外敵が棘に触れると同時に皮が破れ、中にあった毒液が注入される仕組みです。

ここから分かることが一つ。刺毒魚の棘はちょっと厚手のゴム素材などは余裕で貫通しますが、そういう素材も刺傷に対して無力ではないということ。

上の図から想像していただくと分かると思いますが、一旦ゴムなどを貫通すると棘の毒はかなり拭い取られるため、皮膚に到達したときに入る毒の量を「減らす」ことができます。

ミノカサゴの危険性は?

水中でしつこく写真を撮ってたら向かってきた、という人もいますが、基本的に攻撃してくるような事はありません。普通はこちらに向かってヒレの棘を一斉に立てる、くらいです。

ただし毒を持っているという自信(?)からなのか、動きはかなりゆったりしているため、普通の魚と違って触ろうとすれば触れてしまいます。

刺されるケースで圧倒的に多いのが「釣りの外道で上がってきた」「捕まえようとした」という場合。持ち帰って調理する場合などは、まず釣り場で棘をすべて切ってしまいましょう。

沖縄でよく見られる4種類のミノカサゴ

「ミノカサゴ」と呼ばれる魚にも、けっこう種類があります。

とりあえず沖縄でよく見られる種類は…というと

ハナミノカサゴの写真
ハナミノカサゴ
ネッタイミノカサゴの写真
ネッタイミノカサゴ
キミオコゼの写真
キミオコゼ
キリンミノの写真
キリンミノ

この4種でしょうか。

数が多いのが一番上の「ハナミノカサゴ Pterois volitans」

体全体に細かい縞模様が入り、長く伸びた各鰭にも縞模様があります。

で、それとよく似ているのですが、胸ビレが白い糸(軟条)になっているのが「ネッタイミノカサゴ Pterois antennata」。学名のアンテナ―タというのは、間違いなくこのアンテナ状の胸ビレから来てるんでしょうな。

細かいことを言うと、ネッタイミノカサゴとされていたものには実は2種いることが分かり、もう一種にはごく最近(2014年!)ミズヒキミノカサゴ Pterois paucispinulaという名前が与えられました。

で、さらに胸ビレはネッタイミノカサゴに似ているけれど体の模様が全然違う(白いラインが少ない)のが「キミオコゼ Pterois radiata」。ラディアータとは「放射状の」という意味なので、これまた胸ビレに関係したネーミングでしょうか。

最後に、胸ビレが全体的に膜でつながり、体形も他のミノカサゴ類に比べてずんぐりしているのが「キリンミノ Dendrochirus zebra」。和名はキリンですが、学名のゼブラはシマウマ。

ちなみに前2種がミノカサゴ属Pteroisなのに対して、キリンミノは属が違います(ヒメヤマノカミ属 Dendrochirus)。

本家本元の「ミノカサゴ」という魚もいますが、沖縄には分布していないことになっています。こちらはハナミノカサゴによく似ていますが、喉の下のあたりで縞模様が途切れます(ハナミノは途切れない)。

※通(つう)を気取りたい方は、「ミノ」「ハナミノ」「ネッタイ」「キミ」「キリン」なんて呼んではいかがでしょう。あ、でも「キミ」はあまり聞いたことがないので通じないかも。

 

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