オカヤドカリを捕まえて持って帰ると、実は文化財保護法違反!沖縄を訪れる人は気をつけよう。

沖縄の浜辺と聞いて、何を思い浮かべますか?

白い砂のビーチ、サンゴ礁のターコイズグリーンでしょうか。アダンの樹でしょうか。「オリオンビール」と答えたあなた、さては県民ですね?しかもオッサンですね??

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オリオンビール やんばる国立公園指定記念缶

下の写真のような「オカヤドカリ」を思い浮かべた方、いらっしゃいます?

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これは間違いなくNHK連続テレビ小説「ちゅらさん」の影響だと思うのですが、「オカヤドカリ」は県外の方にも「沖縄の浜辺のマスコット」的な存在としてかなり認知されているようです(※ニート博士の独自見解)

このオカヤドカリについて、意外と一般的に知られていないことが多いな〜と感じたので、記事のネタとして取り上げることにしました。

ヤドカリは死んだ貝の殻を利用する

はい、まだページ閉じないで下さい(笑)まずは基本的なとこからね。

ヤドカリは自分で貝殻を作れるわけではなく、死んで殻だけになった巻き貝の殻を利用しています。「宿借り」という名前のもとになっていますね。

ヤドカリは生きている限り成長していきますが、殻はそうはいかないのでサイズ的にキツくなってきたら交換します。他個体のヤドカリを追い出して殻を奪うこともあります。

ちなみに海中に棲むヤドカリの仲間の中には、サンゴに埋もれて生活するゴカイの仲間(イバラカンザシなど)が残した穴に入って生活するもの(カンザシヤドカリ)や、危なくなると殻を捨て去ってすばやく逃げるもの(イダテンホンヤドカリ)もいます。

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イバラカンザシ(ゴカイの仲間)

ヤドカリは脱皮する

ヤドカリは他の甲殻類(エビ・カニなどの仲間)と同様、脱皮をしながら大きくなります。

甲殻類の殻(ヤドカリの場合、貝殻ではなく全身を覆っている「ヨロイ」的な部分)は伸び縮みしないため、体を大きくするためには脱皮をおこなう必要があるのです。

ヤドカリの腹部(貝殻の中に入っている部分)にはこの「ヨロイ」がないので、脱皮するのは腹部より上の部分だけです。そのためヤドカリは貝殻に入ったまま「脱ぐ」ことができます。

ヤドカリは海産のものがほとんど

沖縄育ちの方の中には結構な割合で「ヤドカリは陸にいるもの」と思い込んでいる方がいらっしゃいます(これを知った時、オカヤドカリという生物がいかに県民に身近でハートの中にまで浸透しているか!を実感したのですが)。

2600種ほどいると言われているヤドカリの仲間のうち、ほとんどが海産。陸上で生活するのはヤシガニを含むオカヤドカリ科数種のみです。

ちなみにオカヤドカリは、他のヤドカリとくらべてヤドカリが大変脚がガッシリしています。

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オカヤドカリ
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サンゴヤドカリの仲間

上のサンゴヤドカリ類は、海産のヤドカリの中ではけっこうガッシリした脚を持つもののひとつですが、体に対する脚の太さではオカヤドカリに全然及びません。

オカヤドカリの太い脚は、水中と違って重力がもろにかかる陸上で殻を背負いながら歩くための適応だと考えられます。

オカヤドカリは水に溺れない

「オカヤドカリは溺れる」と思っている方も多いようです。

オカヤドカリは陸上生活をしますが、鰓にたまった水分に空気中の酸素を溶かして呼吸しているので、水中でも基本的に溺れません。ただし、酸素の足りない水に長時間入れられるとダメです。

オカヤドカリは、浜辺にもいるが森の中にもいる

数種いるオカヤドカリ類のうち、「オカヤドカリ」は浜辺にももちろんいますが、浜からかなり内陸に入った海岸近くの森の中などにむしろ大きな個体が見られます。感覚としてはちょっと本土の「アカテガニ」あたりに近いかも。

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森の中に出たオカヤドカリ

ちなみに、近縁の「ムラサキオカヤドカリ」「ナキオカヤドカリ」などは浜辺をあまり離れないようです。

オカヤドカリは国の天然記念物

さて本題です。

オカヤドカリには数種がいますが、すべてが国の天然記念物に指定されていて、自然下にいるものを採って持って帰るのは厳密には違法となります。

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ちなみに、オカヤドカリが天然記念物に指定された経緯にはちょっと事情があります。沖縄が日本に返還される以前の1970年、小笠原などの限られた地域にのみ生息する種ということで国の天然記念物に指定されました。

ただし、当時アメリカの統治下だった沖縄には大量におり、釣り餌などの用途で普通に捕獲されていました。これが、沖縄返還と同時に沖縄でも日本の法律が適用されるようになったというわけです。

オカヤドカリはそれほど数が少ないわけではないので、天然記念物としては例外的に許可を得た業者が捕獲し、一般に販売することが認められています。国内で流通しているものはほぼこのルートのものなので、ご安心を(ただし、飼育に関しては後の項を参照)。

 実は、ヤシガニの方がよっぽどヤバい

同じオカヤドカリ科の「ヤシガニ」も最近TV番組などでよく紹介されます。「ヤシガニラーメン」とかって、食用として。

でも実はヤシガニの個体数は、沖縄のどの地域でもオカヤドカリ類より絶対確実に減少しています。ヤシガニは成長がめちゃくちゃ遅く、もともと自然界での数もオカヤドカリほど多くはない上、生息に適した海岸林も減ってしまいました。沖縄本島では一時絶滅したと考えられていたほどです。

ハッキリ言って、自然に「採って食っても大丈夫なレベル」で個体数が残っている地域なんて、もうほとんどありません。にも関わらず、国の天然記念物にまでなったオカヤドカリとは対照的に、ヤシガニに対しては多良間島や宮古島以外では保護政策は取られていません。

オカヤドカリを飼ってみたい方へ

さて、前述のようにオカヤドカリはペットとして購入することができます。価格もそんなに高くはないです。

ですが、オカヤドカリの飼育はそれほど易しくないです。理由のひとつは、彼らが雑食性だということ。

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「浜辺の掃除屋」

雑食と聞くと何でも食べてくれそうですが、逆に言うと動物性・植物性の餌をバランスよく要求するということです。ちょうど人間がそうですね。これは地味に超面倒です。

他にも水は絶対切らさないとか、適度な湿度をキープとか、低温にも蒸れにも弱いとか、結構シビアです。それらに気をつけていても、脱皮に失敗して突然死んだりします。

ざっくり言って丈夫な爬虫類の方が飼いやすいと思います。金魚が飼えないような人は間違いなくダメです。

オカヤドカリは、実は昔と比べて大型化している?

これはまだちゃんと学術的に調べられた話ではないのですが、「昔に比べてオカヤドカリが大きくなっている」という説があります。

こう書くとなんだかミステリアスですが、原因は単純。アフリカマイマイという外国産のカタツムリです。

もともと沖縄の浜辺には大きな貝殻がそれほど多くなく、オカヤドカリの多くの個体はある時点で成長をストップせざるを得なかったと考えられています。

「アフリカマイマイ」は1932年に沖縄に持ち込まれたのち、戦後の混乱で逃げ出したのち瞬く間に拡散し、今では沖縄のどこに行っても見られます。

この大きい割に軽くて数も多いアフリカマイマイの殻が手に入るようになったため、オカヤドカリりは以前よりずっと大きく成長できるようになったということらしいのです。

実際、アフリカマイマイは大型のオカヤドカリの宿貝としてよく利用されます。

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アフリカマイマイの殻を背負ったオカヤドカリ

ただこのことはオカヤドカリにとって良いことだったのか、よく分かっていません。

小さい個体がたくさんいた以前の方が、生態系の中でうまく生き延びれていたと考える人もいるようです。

まとめ

以上、まとまりませんが、オカヤドカリについていろいろ書いてみました。

沖縄に来てオカヤドカリに会いたい方は、海岸植物のよく残っている浜辺に行って石や流木をひっくり返し、下を見てみて下さい。ひっくり返したものはもとに戻すように。

あるいは、そのような海岸で夜、お酒を飲んでいると「カチャカチャ…」という音とともにどこからともなく這い出してきます。基本的には夜行性なのですね。お酒の缶や瓶は持って帰りましょう。

あるいは、下記のニート博士がガイドをしているツアーに参加すると良いと思います(笑)!

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