美しくも危険な死の妖精「ブルーリングオクトパス」ことオオマルモンダコに、夜のサンゴ礁に会いに行ってきたよ♪

オオマルモンダコ(Blue Ring Octopus)に会いに

某日、Facebookのタイムラインに知人の投稿したある生物の写真が。

オオマルモンダコってすげー

久々に磯歩いて来ました。
タコ祭りですた。

見たい!これは是非見たい!!…という訳でその日の夜中に、沖縄県のとある海岸へと一人「ブルーリングオクトパス」ことオオマルモンダコに会いに行ってきました。

カメラ Panasonic DMC-GH4
レンズ LUMIX G MACRO 30mm F2.8 ASPH. MEGA O.I.S.
フラッシュ 内蔵フラッシュ使用/LEDハンドライト

駐車場に到着!…当たり前ですが誰もいません。。不安がつのります。磯に降りると早速…

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イワオウギガニ!
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♂でした!!

イワオウギガニ発見!

赤い眼がイケてますね。オスでした。甲幅3.5cmくらい。ハサミが大変マッチョな感じのカニです。どことなくボディビルダーをイメージさせます。

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ベニツケガニの仲間

このカニの仲間は細かい種類までは僕には分かりません。彼らには大変失礼ですが、いっぱいいるので「雑魚キャラ」というイメージ。動きは大変素早いです。

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サンゴガニ

夜の磯はエビ・カニパラダイス。あとウニとナマコも。「お前ら、昼間どこにいたん!?」って思うくらい出歩いています。

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ヒメサンゴガニ属の1種

昼間はサンゴの枝の奥の方に潜んでいるサンゴガニの仲間も、夜になると割と見やすい場所に出てきます。

ちなみにカニの周りでイソギンチャクのように「ぶわぁっ」と開いているのはサンゴのポリプ。触手でプランクトンなどを捕らえて食べます。サンゴはイソギンチャクやクラゲに近い動物なのですが、昼間見ているとまるで植物のようにも見えます。夜のサンゴは動物らしさ全開です。

(サンゴガニの仲間はカワイイし、種類も多いし生態的にも面白いので、いずれ特集しようと思います)

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サメハダヤドカリでしょうかね。

上の写真ではヤドカリの貝殻が「ニット帽をかぶったような感じ」になってますが、これはイソギンチャクです。この仲間のヤドカリは、ベニヒモイソギンチャクという種類のイソギンチャクを自分の殻に”装備”するのです。狙いはもちろん天敵からの防御。

ベニヒモイソギンチャクはけっこう強い刺胞毒を持っていて、ヤドカリが襲われると特に強い刺胞をもった糸(隔膜糸)を出します(これが”ベニヒモ”の由来)。

一方イソギンチャクは、ヤドカリのおかげでいろいろな場所に連れて行ってもらえるので餌を捕ったりするのに都合がいいようです。

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でろ〜ん

出ました!ミミガイ!!

こいつはアワビの仲間ですが、身が大きすぎて殻におさまりません。夜になると活発に浅瀬の岩の上などを歩き回ります。

ちなみに食用になりますが、夜磯に遊びに来る人みんなをまかなえる資源量は到底ないので、こういう生物を獲って食べるのは「ホンの時たま」にして下さい(そもそもミミガイは漁業権にひっかかると思います。が、漁業権を持っている「日曜漁師」の方々にもよく考えてセーブして欲しいものです)。

せっかくなので、動画でもこのデロデロ感を。

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オオフサクモヒトデ

昼間は、サンゴ群体の隙間から足のみちょろっと出していることが多く、見ても「ゴカイ?」と思っている人が多いかも。

そんなこんなで夜のサンゴ礁にも目が慣れてきた頃。

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出たーッ!!

出ました。美しくも猛毒を持ったタコ。”Blue Ring Octopus”ことオオマルモンダコです。

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マジで不自然な色調補正とか一切していません。こんな色です。。ヒョウ柄が好きな関西のおばちゃんもビックリです。

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大きさはせいぜい4cmくらい。大変かわいらしいタコです。

なお生物好きの人達の間ではあまりに有名ですが、このタコは毒腺にフグ毒(テトロドトキシン)を持っていて、咬まれると命に関わります。オーストラリアでは実際に死亡例が知られています。ご存知の通りフグ毒は食べると命に関わる猛毒ですが、その毒が血液に入ると食べるよるもはるかに少ない量でも効き目を発揮します。見つけても絶対に、絶対に手を出さないで下さい。

と言っても捕まえようとしない限り向こうから攻撃を仕掛けてくることはないので、観察するだけなら大丈夫です。

なお近縁種にヒョウモンダコがいて、本州ではこちらの方が有名かもしれません。ヒョウモンダコも同様にフグ毒を持ちます。

フグ毒についておさらいしてみよう

怖がっているだけでは芸がないので、フグ毒がどういうもので、どう危険なのかちょっとおさらいしてみます。

フグ毒の主な成分は「テトロドトキシンC11H17N3O8」と呼ばれる化合物(アルカロイド)です。化合物の名前はフグ科(Tetraodontidae)に由来します。トキシン(toxin)は毒という意味で、毒となる化合物には「ートキシン」という名前が付けられることが多いです。

テトロドトキシンの構造
テトロドトキシンの立体構造(Wikipediaより)

テトロドトキシンはだいたい青酸カリの850倍ほどの毒性を持つといわれており、ヒトでの致死量は食べた場合で1–2mgと言われています。先に書いたように、注入された場合はそれよりはるかに少ない量で死に至ると考えられます。

テトロドトキシンが人間の体のどこに作用するかというと、

神経毒であるテトロドトキシンは神経細胞や筋線維の細胞膜に存在する電位依存性ナトリウムチャネルを抑制することで、活動電位の発生と伝導を抑制する。(Wikipedia)

細胞膜のナトリウムチャネルという部分の働きを阻害します。大ざっぱにいうと、神経の信号を筋肉に伝えて…という人間が体を動かす仕組みの基本的なところを止めてしまうのでものすごく、非常にヤバいと。ちなみにテトロドトキシンは300℃で加熱してもなくならないので、フグは加熱してもダメです。「ふぐ調理師」という免許を持った人が調理したものを食べてくださいね。

なお、このテトロドトキシンという毒はフグやオオマルモンダコによって作られるわけではなく、海に生息する細菌の仲間が生産したものが食物連鎖を通じてフグなどの生物に蓄積したものだとのこと。オオマルモンダコがこんなに強い毒を持っているのは、餌となるカニ類などの獲物を一瞬にして動かなくするためだと考えられています。

カニを捕るためにヒトが殺せるほどの毒を持つ必要があるんかい!と言いたくなりますが、イモガイ類の例にもあるように、自然界で狩りのために毒を用いる生物には時々、こういう”オーバーキル気味”の猛毒を持った連中がいます。

※ちなみに、あまり知られていませんがヒョウモンダコやオオマルモンダコ以外の「普通の」タコもたいてい毒を持っています。もちろんテトロドトキシンではないし、そんなに強い毒でもないのですが、人によっては気分が悪くなったりするそうです。こちらは食べる分には全然心配いりません。

ついでに言うと、タコの口器(カラストンビと呼ばれているクチバシのような構造)は結構鋭くて咬まれると深い傷を負うので、タコを扱う時はくれぐれも用心してくださいね。

オオマルモンダコの模様について

オオマルモンダコのこのド派手な模様は、まず間違いなく「警戒色(警告色)」だと考えられています。

派手な色や模様をまとうことで、相手に自分が危険な存在であることを知らせる例はたくさん知られています。身近なところでいうとスズメバチの縞模様やナナホシテントウの赤と黒の水玉も警戒色だと言われています。

LEDライトを口にくわえながら頑張って動画も撮ったので、そちらもどうぞ(環境が許す方はフルHDで)。

まとめ

オオマルモンダコに限らず、サンゴ礁にはいくつか危険な毒を持った生物が生息しています。

もちろん、いずれも向こうから襲ってくるような生物ではないので、正しい知識を持って対策していれば必要以上に怖がることはありません。

というか、毒を持つ生物というのは怖がれる一方で非常に人気があります。

なぜ毒を持つのか?どんな時に毒を使うのか?毒の成分は何か?その成分は一体どう作用するのか?どうやって作っているのか?…など、科学的な興味の引き金になる謎が「毒」には満載なのです。

追記:また見に行ってきました。網入れとか良い子はホントに真似しないでね!!

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(写真と動画はすべてPanasonic GH-4 + LUMIX G MACRO 30mm f/2.8で撮影)

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